自分をグーグル化してくれよ~

タイトルは勝間 和代さんの書籍から拝借しました。
最近、気に入って読んでいる書籍の一つです。

私は、ビジネス書より建築の専門書をどちらかというと読む方ですが・・・
ビジネス書を読まないと、社会人としてはこの情報化社会で生きて行くには難しいと思い、専門書に偏らないように月に何冊かは最低読むようにしています。

この勝間 和代さんの「効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法」本でも、書籍への投資大切だと書いてありますし、本田 直之さんの「レバレッジ・リーディング」でも、書籍への投資の重要性をうたっています。

確かに、これらの本で書かれているとおり、他人の何年もかかった成功例、失敗例をほんの数時間で体験できるので、自分一人で成功失敗をくりかえして得る知識より多くの知識を得ることができるので、現実の社会で困ったときに助かる可能性があるわけです。

私は、建築士としては同年代の人間に比べて、高卒の方とは10年、大卒の方とは5年遅れて建築業界にはいっています。
でも、その遅れを取り返すために、時間を有効に使い、現場に数多く足を運び、専門書を読み、本と現場を行き来して知識不足、経験不足を補い、現場の常識でもおかしいことはメーカーから施工マニュアルをもらってきて読んできました。
そのせいで、メーカーや職人からはすごく嫌われて、施工マニュアルに従っていないからやりなおしとか、建築基準法に従っていないからやりなおしとか融通聞かないくらいに指摘して、取引しないとか、私がはいっている現場では仕事しないとか、相当ほされてきていました(それは、いまもか・・・)

多くの方は、施工マニュアルも、基準法も、専門書もみていないで、まわりがそうだから、販売店がこうしろといったからと、曖昧な根拠で仕事をしているようで、自ら疑問を持って調べるということをしないようです。
情報を得て、疑問を持ち、調べる・・・情報を得て、情報同士を結びつけて、結果を出すという行為ができていない人が、多いような・・・
私が完璧な人間ではないので、私もまだまだ改善の余地があるのですが・・・

と・・・長い前振りにいつものごとくなりましたが・・・
なんで、こんな話をしたのかと言いますと・・・
現在、外壁をモルタルにしよう決定した現場が一つあります。
左官業者さん二社に、私が設計で指定したやり方は、同じ。
外張り断熱にするので、外壁を少しでも軽くしたいので軽量モルタルにして、認定のとっているやり方で施工をするようにと・・・

見積もりが出てきます、いわゆる世間一般の単価で見積もりが出てきて、使いたい材料をもってきてもらいました。
二社とも、○○社の軽量モルタルでいきたいと同じものをもってきて、金網(ラス)も同じ物を持ってきました。
どうやら、販売店が同じようで同じ使用で似た単価でもってきました。

しかし、マニュアルがありません。
一社は、マニュアルを販売店にもってくるように私の目の前で電話し、もう一社はそんなものないといって帰って行きました。
電話した方が、1割だけ高かったですが、その時点で私は高くても確認する方に、仕事をやらせるのを決定しました。

今度は、マニュアルが届きました。
マニュアルを見ると・・・下塗り材が、マニュアルと別で、モルタルメーカーに確認したところ、上塗り材と下塗り材で認定をとっていて、下塗り材を変えるのはNGとの回答でした。
販売店に確認したら、メーカーの言うとおりに施工をしたら、高くなるから左官屋さんたちがそれぞれ独自の工夫で、勝手に組み合わせているし、自分たちは売るだけだから、業者さんが何をしていようが関係ないし、知らない言われたものを売るだけだと回答がきました・・・

今度は、ラスを確認しました。
ラスもマニュアルと違いました。ラスメーカーに確認の電話を入れました。
認定のラスでないことをあっけなく認めました。
また、建築基準法告示、公庫基準の指定性能を満たしたラスでもないことも認めました。ただ、その会社はきちんとしたラスも作っていましたが、価格が何倍にもなるとのことです。
施工マニュアル、公庫基準、基準法が全てではない、違法をしているつもりはない、今までそういった指摘はされたことがない、使う側がいいと思ってつかっているならそれでいいので、自分たちの商品は悪くないし、木造住宅に使って問題ないということでした。

今度は、私とその左官屋さんとで、モルタルやっている現場をまわって、聞き取りをしました・・・場合によっては、一部塗っている途中を見せてもらったり・・・
結果、8割以上がメーカーの認定もしくは、建築基準法告示の指定通りにやっていませんでした。
その左官屋さんは、相当年をとっている左官屋さんでしたが、今まで自分たちが知らず知らずのうちに手抜きをしていたことにびっくりしていました。

結局は、私が指定したやり方でやることになり、当初の見積もり2割り増しの単価で見積もりがあがってきました。
ラスが4倍にはねあがったそうで・・・他に下塗り材がコストアップ・・・
販売店に事情を話し、販売店の仕事のスタイルに問題がないのかという一言をいって、この現場だけ安く出してほしいとお願いをして、当初の予算の1割ましで見積もりが決定しました。
メーカーにも、交渉しましたが、メーカーは交渉い応じてくれませんでした。
ただ、断った安い方の左官屋さんに比べると2割増しの金額が見積もりの決定金額です。

建築コスト的にいくと、相場のコストの2割増になりますが、施主様には嘘偽りなく話し、相場の2割コスト増を認めていただきました。

左官屋さんには、あんたはキャリアもないし、モルタルの外壁なんかめったに使わないのに、なんで基準にあわない施工をすることがわかったのか?と聞かれました・・・
それは、やはり本やマニュアルを読み、あちこち他社の現場を、見かけたらつかっている材料の袋とか、張っている金網の形状とかをチェックしているからで、マニュアルや専門書にないものをみかけたらネットで検索かけ、メーカーを見つけたら、資料請求をしているからなんです。

あとは、あちこちのうわさ話を頭の片隅にいれておき、自分の中の情報と整理して、必要な情報をとりまとめると、点と点が結ぶ結果になり、ああこういうミスがおきたんだと、うわさ話ですらも真実を導き出すことがあるので、こういう可能性があるだろうと判断して、先手をうっているわけないいです。

勝間 和代さん風にいうとGoogle化しているわけで、本に書いている内容は私は少しは実践していたなと思って読んでいました。
完璧ではないですけどね・・・
今、またこの本を読んで、すごいと思ったことがあり、一つは簡単に実行できるので取り入れてみましたが、すごく効率よく動けるようになりました。

ご年配の方にGoogle化しろとは酷な話でしょうが、販売店も、メーカーもGoogle化してフォロワーシップをこころがけたら、基準に従った、単価の高い商品が売れるので客単価アップ、顧客満足度のアップとなるように思えます。

今回の私の提案も、コストが上がっているのに、お施主様が承認したのは、一生に一度の買い物なので、しっかりしたものを作ってほしいという希望からです。
お施主様も、安ければいいというわけではなく、納得した結果が適正価格であるかないかですので、違反してでも安い物がほしいというお施主様にはこのお話しが通じないわけです。
こちらのような、はなしは、松村達夫さんの書籍に書いていますね。

私は、暴利を得たいとは思いませんが、建築士としてかかるコストはしっかりかかることを伝えてはいきたいと考えています。
そのしっかりとやる結果増える2割のコストを下げるために、お客様に提案しているやり方が、分離発注という中間マージンをぬいて、コストを下げるやり方です。

ただ、必要だから2割アップですというのは工夫がないので・・・
流通の仕組みを少し変えて、コストをさげるという提案をして、しっかりとした家造りをしたいなと考えています。

長くなってしまいましたが、今回の件は多くの方にしっていただきたく長文になりました。
左官屋さんも、施工業者さんも注意してみましょう。びっくりしますよ・・・