出前授業と職場体験への私の想い

平舘中学校

先日、出前授業で平舘中学校にいってきました。二コマ授業を担当させていただきました。
平舘中学校は今回が初めて、出前事業を行ったそうです。今の校長先生が、外ヶ浜の中学生にも市内のように色々と職業を知って視野を広めて欲しいという想いで今年度から始めたそうです。
校長先生は、浪打中学校で出前授業をしていた私を思い出して声がけしてくださったようで嬉しくも思いますし、私はこういう機会は子供達には必用と思っていますので呼ばれたらスケジュールが空いている限りは断らないようにしております。

PC設定

私は、出前授業では体験をさせるってことができないくらい、キーノートでプレゼンを作り込みます。
それは何故かというと、建築士と大工さんの違いを明確に知ってもらいたいからです。
子供達が大勢いる中で、40分という限られた時間の中で建築士の体験をさせるのに、CADなどを触れさせても数名に本の数分では体験にまともにならないだろうと思っていますし、そこで木工教室みたいなものをやっても大工さんと建築士の違いを教えることが出来ません。
なので、私はプレゼンで話すという手法を選択しています。

建築士

建築士の種類、大工さんとの違いをこのように解説していきます。
実は、依頼してくる学校や教師の方々も設計事務所、工務店、ハウスメーカー、ビルダーの違いがわからないで依頼をしてくるケースがほとんどです。
それくらい、建築士がメジャーでなく、建築業界がしられていないことだと思っています。
医療業界で、医師の仕事の話を看護師さんに依頼してくる学校はないと思いますし、生徒たちも中学、高校になると医師と看護師という職業があり別物と認識しはじめると思います。
これは、学校が悪いとか生徒達が無知とかではなく医師や看護師が生活にとけこみ必用な存在と認識されているからで、建築業はビルを建てる、家を建てる人がいるという認識があっても、建築士、大工、左官、基礎・・・など専門職がいるとか、設計事務所、工務店などの仕事があると認識されていないことになり、これは業界の怠慢であると私は考えています。
ゆえに、魅力を伝えることができないし、違いを伝えることができないので若者の入職率も低く、ましてやプロフェッショナルでない人達が、ブローカーのようなことをしても商売になるような環境を生んでしまっていると個人的には考えています。
なので、私一人ではたいしかことない活動かもしれませんが、こういう出前授業や職場体験などがあるとなるべく断らないというスタンスで、子供達に先生達に建築士の事、建築業界の事を知ってもらうためにこのような活動を行っています。

CASBEE

最近は、環境よりの話しになっていますが、過去は関連の資格の話をしたり、施工管理技士と建築士の違いなども話したりしていました。施工管理技士なんて資格始めて知ったとよく感想文に書かれたものです。

省エネ

基本的に、デザイン論みたいな話はしません。大学生や高校生ではないので、建築士の仕事のことをわかってもらえたりしたらいいなとそんな話が中心です。
でも、地球環境については大切だし環境の授業的な内容にも少しでもなればと簡単な省エネの話をして、クイズでどこから一番熱が逃げるでしょう?みたいなこともしていましたが・・・
最近は、TVCMの影響か全員正解で窓って答えるので、今年からはクイズ内容を変更しました。

新クイズ

新クイズはこいつです。
これは答えの画像ですが・・・どんな材料で家を建てますか?って質問が多いので、私は地元の材料を使って家を建てますって話して、なんで地元の木材で建てることが大切なのかを知ってもらうために、日本で自分たちの国の木材は何割使っているかを質問してます。

質問

これが、質問の画面。もちろん、右の円グラフは最初は画面に出てきていません。
森林率世界3位の日本は、森林率は日本より少ないアメリカや中国の半分以下しか地元の材料を使っていません・・・そして、アメリカやカナダ、中国などから輸入して買ってきている事実を教えていますし、地元の木材を使わないと山が死んで、生態系もくずれるし、災害も増えるし大変だよと話しています。

現場の様子

写真をとりいれて建築士(設計監理)、現場監督、大工などの違いを説明します。

図面

これは構造計算の画面ですが、構造計算書や図面、メーカーさんの承認図や定価見積もりをみせてこういった資料を作ったり精査したりしますよと教えています。

実例

あとは、実際の建物の写真もみせます。

良さ

仕事のやりがいなどを聞かれるので・・・
建築士は死してもなお、建物が残り街並みをつくれることが醍醐味ですって教えています。

でもって・・・
最近、追加した項目が・・・

景観

宮崎県建築士会さんの取り組みに感動して、自分なりに少しだけ景観ってものを教えています。
景観授業になるには、私もまだまだ資料不足なので機会があれば、宮崎県の建築士会の皆さんのもとへ勉強にお邪魔したいと思っています。

景色

景色を見せて・・・

建物

建物や看板ある風景をみせて・・・

きれいな景観

こんなキレイな風景と、ルールにのっとって建築されて維持されている建物や雰囲気を壊さないように並べられている看板のお話しをしています。
結構食いつき良いので、景観をもう少しメインにして出前授業もありかなーって考えています。

景観(けいかん)・・・広辞苑では

①風景外観。けしき。ながめ。また、その美しさ。

②自然と人間界のこととが入りまじっている現実のさま。

と記されいます。私は、②の景観について教えています。
人間界これが我々建築士が関わっている仕事で、自然と綺麗に入り交じることが大切なんだよってお話ししてます。

チェック

そして、職場体験。
毎年数校受け入れています。個人的には二日間希望です。
現場ないときは厳しいですけど・・・
見学

今年は三内中学校と戸山中学校がすでに体験に来ております。
これから、浦町中学校、筒井中学校がきます。

私の事務所はきびしい体験場所みたいです。
挨拶ができない子、御礼が言えない子、言うことを聞かない子は怒ります。
現場でおしゃべりをして言うこと聞かない子もいました。足場でふざけて押し合いしていたので相当怒りました、怪我したらどうするのって。
ある食品工場の監理につれていったときに、加工されたてのお菓子をもらったのに、御礼が言えない子がいたので御礼を言うまでは帰れないよと何度も注意したこともあります。
そして、生徒達には職場見学の時は君たちは新入社員です。新入社員は先輩方に仕事を教えてもらえないと何もできません、なので今日君たちがやれる一番の仕事は、職場や現場で会う人達に大きな声で挨拶することですと一番最初に教えます。

それをよくないと思う学校もあるようですが、そこがいいと私の事務所を生徒達に推薦してくださる学校も有り個人的にはそういうことに理解ある学校に協力したいなって思っています。

もちろん、出前授業の職業講話と一緒で建築士と大工さんたちの違いを知ってもらいたいっていうのが一番の狙いです。

そして、私は職場体験のときは半分の時間を現場で職人として生徒を過ごさせ、半分の時間を職場で建築士としてすごさせます。

監理

現場では、大工さんや電気屋さん、水道屋さんなど現場にいる職人さんから仕事の内容を教えてもらったり、体験させたりします。

含水率計

時には、私が使う監理用の道具を現場で使わせて設計監理の体験もさせます。

気密測定

運が良いと気密測定の体験ができたり、ラジオにでたり、ショールームにいったりします。

PC

最終日には、CADで図面をかかせて完成した図面とパースを持ち帰ってもらいます。

そこで、設計事務所、工務店などの施工業者の違いを説明体験して自分がどっちが向いているのか?を最後に生徒達に話してもらいます。

意外と男子生徒は職人がいいと話す人が多く、子供達の多くは設計事務所に体験しにきたという感覚ではなく工務店に体験しにきて、家づくりということで現場でトントンやるイメージできている子供が多いです。

なので、こういう二つの仕事の体験をさせて仕事の違いを知ってもらうために職場体験を引き受けています。

忙しいのによくやるねとか言われますが・・・
こういうことをやっていかないので、若い後継者が続いていかないと個人的には考えています。なので私は耐力の続く限り受け入れたいと思っています。