法令遵守
お客様から、下り壁をなくしたいと相談受けました。
数年前に建築告示で変更になりまして・・・特定の条件を満たすと確かに下り壁をとることなんか出来たりするのですが・・・
様々な規制がでてくるわけです・・・厳しい条件を緩くするということは、他の条件を厳しくするわけで・・・
じゃぁ、垂れ壁をとるにはどうしたらよいかって・・・火気使用室にしないといいというのが一番簡単なやり方です。IHなどを使うとよいわけですが・・・
ガスで垂れ壁をとりたいとなると・・・ハードルが相当上がるわけなんです・・・
従来は、コンロから天井までの高さおおよそ1,500~1,900mm位が多いのですが、その1/2以上の距離を、火源から離隔した距離に天井から50cm以上の不燃材料の垂れ壁を設け、かつ、壁と天井を準不燃材で仕上げれば、キッチン以外の一体の部屋は内装制限を受けなかったのですが・・・
①コンロの中心から半径250mm、高さ800mmの円柱の内部仕上げは特定不燃材(壁、天井がある場合は間柱、下地も特定不燃材、回り縁、窓台、その他これらに類する部分を含んで特定不燃材)にすること。
②コンロの中心から半径800mm,高さ2,350mmの円柱の内部および天井面、および間柱や下地材も特定不燃材、またはそれに準じるで仕上(12.5mm以上の石膏ボード、5.6mm厚の珪酸カルシウム板2枚重ね、5.6mm厚の繊維強化セメント板2枚重ね、厚さ12mm以上のモルタル)にすること。
③コンロから天井までの距離が2,350mm未満の場合、800mm+(2,350ー天井までの高さ)のコンロを中心とした半径の天井面が、不燃材仕上にすること。
④火力が一口4.2Kw以下のコンロであること。
この全てを満たすキッチンの計画をすると・・・
なんと、素敵!!住宅の内装制限を戸建て住宅に限るとなくすることができてしまうのです!!
一見そんなに難しくなさげにみえるのですが・・・
①②の間柱、下地も特定不燃材、回り縁、窓台、その他これらに類する部分を含んで特定不燃材にしないといけない・・・というこの項目がハードルをあげるわけです。
特定不燃材・・・
「不燃材料を定める件」H16国土交通省告示1178号の一部が、平成21年国土交通省告示225号の中で指定されているのですが・・・
一 コンクリート
二 れんが
三 瓦
四 陶磁器質タイル
五 繊維強化セメント板
六 厚さが三ミリメートル以上のガラス繊維混入セメント板
七 厚さが五ミリメートル以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板
八 鉄鋼
十 金属板
十二 モルタル
十三 しっくい
十四 石
十五 厚さが十二ミリメートル以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが〇・六ミリメートル以下のものに限る。)
十六 ロックウール
普段住宅で使われている木材であったりや建材などの樹脂シートのものをまったくもって①、②のところでは使えないということになります。
これらを仕上につかわないといけないので、厚さ12ミリの石膏ボードをはって、そのうえに仮に不燃認定をとっているクロスをはったとしても・・・この条件をみたしているといえなくなります。
従来の内装制限は、天井や壁の表面積の1/10以下の面積であればその部分は制限が免除されますが、その規定がこの新しい告示225号では免除されなくなります。
これは、そうとう最初から考えて設計しないと内装緩和は難しいわけです。
わかりやすくいえば、キッチンの天井壁は漆喰かタイルの巻き込み仕上でおさめて、下地はLGSを使うって建物にしないといけないわけです。
ハードルが上がりますね。不可能でないとしても・・・
この本のQ&Aを読んでいくと詳しいことが書いていて・・・つみ将棋のようになっていきます・・・告示だけみて設計してしまえば悪意なく違反建築なんてやってしまう勢いですよこいつは・・・
ちなみに、雑誌やWEBでこういう物件で上記の条件を満たしていない物件はよく見るよってお客様達に言われてしまいますが・・・
それは、意図的かどうかは置いておいて・・・違反建築です。やっていはいけないことです。完了検査済証がおりないと最終融資が実行されないケースもあるので注意しましょう。
一部の金融機関では悪意のケースでも、最終融資を実行することろがあるのが私は結構もどかしく感じています。さんざん、違反建築には融資を実行しないと言うので法令遵守しましょうとお客様にお話しをしていくのですが・・・法令遵守しない提案のところに融資をおろし、まじめにやっている当事務所が高すぎるとか、嘘つきと言われるケースです・・・
店舗などもまだまだひどいものです。防火地域という、防火設備をつかわないといけないところに木製サッシや単板ガラス、内装制限もおかまいなしに木材表し・・・木造で建てられない場所で木造・・・そして・・・火事などが起きたときには痛ましい事件が・・・
建物は一歩間違うと人の命を奪います。自分たちが望んだからとその建物の所有者にだけ被害がいけばまだよいでしょうが・・・隣家に火が燃え移る、不特定多数の方が出入りする建物では建物の利用者にも被害が・・・
法令を遵守してからのデザインだと思います。
今回、内装制限を解除するには相当なコストがかかるなと個人的に思っています。
違反はしないので・・・しっかりとお客様に説明をして向き合っていきます。
発熱量18kW/秒以下のストーブも、内装制限の対象になりまして・・・薪ストーブはこの条件で内装制限をはずすケースが多々あります。キッチンよりは楽に内装制限がはずれます。
ちなみに、鉄筋検査は合格です。スペーサーブロックが一部ずれてかぶり厚がとれていないところを指摘して、やりなおししたくらいですね。
鉄筋の立ち上がりのカブリ厚が足りなくなるケースもありますが、立ち上がりの厚さを150mmにして、スポット溶接にしているので多少のずれは許容できるようし設計しています。
その配慮は、検査員のかたにいつも関心していただいています。
スポット溶接でない溶接をするところも多々ありますが、鉄筋の断面欠損が大きくなり基礎が弱くなります。
ちなみに、これは好き好きの問題かもしれませんが・・・ベタ基礎+杭というものに私はコストの無駄遣いで意味がないのかなと考えています。
今回は杭+布基礎です。
ベタ基礎は20KN以上の地耐力があれば、広い面積で建物をささえるベタ基礎は効果的です。
でも、20KN以下であれば、地耐力を基準値以上にあげないといけないので杭や地盤改良で地耐力をあげていきます。おそらく地耐力は30KN以上にするケースが多いため地盤改良や杭を打設した時の地耐力がいくらあるかによって、地盤改良や杭+布基礎かベタ基礎という組み合わせになると思うのですが・・・
支持地盤まで地盤補強するとなるとたいがいは30KN以上・・・
地盤補強の上はコスト的にメリットある布基礎で十分かなと・・・ましてや、ベタ基礎は構造計算が基本なのに、なんとなくの感覚で鉄筋のピッチが設計されている現状であれば・・・個人的には、地盤補強+しっかりと計画された布基礎のほうがいいかなって思います。
あと、しつこいようですが・・・スリーブも100φ超えると補強筋が必用です。これもやっているところ少ないんですよ・・・
一生に一度に近い家造りのパートナーを皆様しっかり考えていませんか?